体を支配された男
胃の調子がまだ少しおかしい。
それだけではない、眠気も襲ってくる。
まるで体を誰かに支配されているかのような感覚だ。
眠っても眠っても自分が自分でないようなこの感じ。
以前に何度も見覚えがある。
そう、鬱の時の症状だ。しかし今回は鬱ではない。
それははっきり分かる。
とにかく、少しでも体を休めて回復を待つしかない。
昨日治ったかのように思えたはずの胃の不快感が、
今日は狙っていたかのように蘇る。
やつを早くこの体から追い出さねばならない。
そう1秒でも早くだ。ぐずぐずしていると間に合わなくなるかもしれない。
窓を開けると、妙な雲行きが空全体を覆って陽の光を遮っていた。
まるで自分の胃の中のような気がして俺はすぐに窓を閉めた。
胃に潜む得体の知れない生物を感じながら、
生ぬるい空気を吸って俺は床に就いた。
やつが目を覚まさぬことを静かに祈りながら。
その日は音もなくひっそりと闇が訪れた。
もう二度と朝が来ぬかのような漆黒の暗黒さを身にまとって。
つづく